伴侶動物の感染症とPCR検査
伴侶動物の感染症

1.伴侶動物:猫の感染症とPCR検査

猫の感染症には、猫伝染性腹膜炎(FIP)、猫風邪(ヘルペス、クラミジア、カリシウイルス)、猫白血病ウイルス感染症等の感染症があります。
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(1)猫伝染性腹膜炎(FIP)
猫伝染性腹膜炎(FIP)は、猫コロナウイルスと呼ばれるウイルスの感染によって引き起こされます。コロナウイルスは、さまざまな動物の上気道や消化管に感染することが多い一般的なウイルスです。FIPを引き起こす猫コロナウイルス(FCoV)は猫にのみ感染し、猫の間で非常に蔓延しており、特に多数の猫が一緒に飼育されている場合に顕著であるとされています。家庭で飼われている猫の25〜40%は猫コロナウイルスに感染していると推定されています。猫コロナウイルスは多くの猫が保有しているとされ、猫の腸管に感染する低病原性の猫コロナウイルスが突然変異し、腸管以外の場所に広がり過剰な免疫反応が生じることで引き起こされる病態とされています。突然変異の原因として、ストレスや飼育環境の変化、他のウイルス感染などの影響が考えられていますが、特定されている要因はありません。FIPはいずれの年齢でも発症するとされていますが、多くの場合、3歳以下の若齢猫での発症が多い傾向にあります。
猫コロナウイルスは多くの猫の糞便中に見られます。ほとんどの猫では、感染しても兆候がないか、軽度の下痢が起こるだけで、治療しなくても治ることも多いです。従いまして、猫のコロナウイルスが見つかったからといって、その猫がFIPを発症しているとは限りません。発熱、食欲不振、体重減少など体調に問題がなければ発症していないと考えられます。しかし、猫の体内でウイルスが変異し、免疫系が特定の反応を示すと、FIPを発症する可能性が出てきます。発症した場合はウイルスが体中に広がり、猫の免疫系と相互作用するため、さまざまな症状を引き起こすことにつながります。
FIPは家庭で飼育されている猫だけでなく、動物園で飼育されている猫族の大型動物、ライオン、トラ、チータなども感染します。これらの大型動物でも、飼い猫と同様の症状を示し、急激に症状が悪化することが有るため、早期の治療が必須となります。
(2)猫風邪
猫風邪とは、ヘルペスウイルスやカリシウイルス、クラミジアなどの病原体に感染することで発症する、上部気道感染症の総称です。人の風邪に似た症状がみられるため「猫風邪」と呼ばれますが、実際にはそのような病名が有るわけでりありません。主な症状は、鼻水、くしゃみ、せき、発熱、食欲低下、目ヤニ、流涙、結膜炎、角膜炎、よだれ、きつい口臭、口内潰瘍、肺炎、などです。その症状による病原の判別は非常に難しいですが、その病原ごとに適切な治療薬が異なるため、何が原因で猫風邪を発症しているのかを確実に診断する必要があります。
(3)猫白血病ウイルス感染症
猫白血病ウイルス(FeLV)に感染することで発症する病気で、治療法がないために発症後の死亡率は高い。感染しても発症しない場合もある。
2.伴侶動物:犬の感染症とPCR検査

犬の感染症には、レプトスピラ症があります。PicoGene® PCR1100を利用することによって現場でのPCR検査を簡単、短時間で行うことが可能です。
レプトスピラ症
犬のレプトスピラ症は、レプトスピラという細菌による感染症で、人獣共通感染症です。感染すると発熱や元気消失など初期症状としてみられます。さらに進行すると肝臓や腎臓に障害が見られ、皮膚や目が黄色くなる黄疸が出ることも有り、重症化すると命を落とすこともあります。

昔はペットと呼ばれていた、家庭で飼育されている犬や猫たちですが、最近は「伴侶動物」と呼ばれることが一般的になってきました。伴侶、即ち、一生涯を共に生きていく仲間としての動物たち、という位置づけに変化してきたと言うことになります。
最近の飼育環境の改善により、寿命も非常に長くなり、その結果、人間と同じように病気治療が必要になることが多くなりました。中には、重熱性血小板減少症候群(SFTS)や猫伝染性腹膜炎(FIP)のように早急な対処が必要な感染症も発生するようになり、病気の原因をできるだけ早く特定し、適切な治療・投薬を行うことの必要性が高まっています。
症状からその病原の特定が困難な場合、一般的には、血液や、体液などを検査ラボに送って遺伝子検査等を行う、という手段が行われていますが、その結果が得られるまでに数日~1週間、特に地方では、10日以上の日数がかかる場合があり、その間に病状が進行し、中には動物が亡くなってしまう、という事態も発生する場合があります。そのため、動物病院に患者の犬や猫が来ている間に、できるだけ確実に病原を特定することが求められるようになっています。